2019年12月4日水曜日

「ツリーイング体験会」のご報告


11月2日(土)秋まつり一日目。
「いつか山ふるでやってみたい」と
個人的に、ずーっと密かに温めていた企画、
「ツリーイング体験会」がとうとう実現しました!
ツリーイングはロープを使った木登りで、
もともとはアーボリスト(樹木医)が樹上作業を安全に
行うための手段として利用されてきたものです。
 
今回はツリーイング団体「ツリーマスタークライミングアカデミー」様の
全面的な協力をいただき、実施と相成りました。


今日登る木は奥多摩湖に一番近い、湖畔広場の奥のオニグルミ。
この木に6本のロープをかけました。

午前は事前申込みをしてもらった12名の子ども達が、
午後は当日申込みの11名の子ども達がオニグルミの木に登りました。


午前の回では、まずはビジターセンターで今日登る木の説明と、
木登りで分かる事(調査)の価値を、実例をこめて説明。
(これまでは3mの自撮り棒で撮影するのが限界だったのです…)


また、今回の活動の肝である、バディの発表。
今回は2人組で活動し、2人で協力しながら、
登る練習やこちらのお題に挑戦してもらいます。
バディごとに自己紹介と、最初の練習でどっちが先に登るか決め、
その後、お題カードを選んでもらいました。
(詳しい内容はこの後で)


カードによってお題が違うので、みんな真剣です…

その後、荷物チェックとトイレチェックをして、
いよいよビジターセンターを出発。
自分たちが登る木、登れそうな木を探しながら
湖畔広場に向かいます。

そしてそこに待っていたのは…ツリーイングのマスター達!
いうなれば、木登りのプロです。

荷物を置いて、軍手と帽子をつけて、
境界線を越えたらいよいよツリーイングの始まりです!


まずはハーネスと呼ばれる器具とヘルメットをつけます。


登り方教わり中。真剣です…!


練習タイムが終わったら、「お題の時間」です。
今回、ツリーイング体験会をやるにあたって
一番悩んだのがこの内容でした。

木登りというと、とにかくてっぺんに、一番高いところに
行きたがる子が多いのですが、
せっかく自然豊かな奥多摩でやるのですから、
周りの木の高さや自分の登っている木の特徴、
木に生えているものなど、
登ったからこその発見をしてもらいたいと思って決めました。 


みんなでお題チェック。
この組のお題は「キリン(5m)の高さまで登れ!」でした。


このお題のポイントは、バディとの連携強化と、
自分が登った高さがどのくらいか、
周りに生えているたくさんの木々の高さを実感してもらう事。
さぁ、みんなお題の高さまでいけるかな〜?


バディと協力して高さを計測中。キリンって大きいなぁ。
ちなみにもう一つのお題は「アフリカゾウ(3m)」でした。


次のお題は「木の上の発見を糸電話で教えよう!」。
腰につけた特製10m糸電話を使って、木の上からの景色や、
見つけた物をバディに報告します。
また、バディからも何が見えるか質問したり、リクエストをしたり、
木の上と下で交流が行われてました。
 
 
「もしもし聞こえますか〜」「聞こえるよ〜」
 


しばしの休憩を得て、いよいよ最後のお楽しみ、フリータイム!

木のてっぺんを目指すも良し、木の枝を歩いてもいいし、
ブランコ遊びをしてもよし。

1人1人の楽しみ方に個性が出ていて、
周りから見ているだけでも、とても楽しい時間でした。


登るのも手慣れてきました。格好いい!


木の上に立てるか挑戦! ガンバレ!


下から見ると、すごい高さを登っているのが判ります。

楽しい時間はあっという間。
ギアとヘルメットを外して、地面に戻ってきたみんなには
実は山のふるさと村だけでも200種類の樹がある事を伝え、
もし登れそうな樹や、登ってみたい樹があったら
ぜひ教えてほしい、と伝えました。



登ったみんなだからこそ気づく視点で、
山のふるさと村でのツリーイングが
どんどん広がっていく事を期待して、今日は解散。

お家の人と合流しつつ、バディ同士で
「夜、お前のテント遊びに行っていい?」なんて声も
聞こえたのも印象的でした。





午後の活動は、40分と短いため、登り方講習をし、
少し練習したらすぐにフリータイムとしました。

ロープのてっぺんまで登り切る子や、
高い所でしか見られないと思われる種類の
地衣類(植物と菌類の共生生物)を発見する子。
太い枝まで登り切り、トトロのように枝に座ってのんびりする子。

午前とはまた違った、様々な楽しみ方が見られました。


 
最初はちょっと登り方に手こずるけど…

子ども達の吸収力、柔軟性はすごい! すぐにコツを掴んで登り始めます。


 一番上まで到着組。実は10m近くまで登ってます。3〜4階のビルの高さ!

 
木の枝に腰かけるまで、後ひといき!
  
 
がんばった後は、気持ち良さそうに木の上でくつろぎ〜。


初めての試みでしたが、参加者のみんなが実際に体験した事で、
まだまだ新しい事が出来そうな、そんな可能性を感じました。

保護者の方から「来年は大人も登れるようにしてほしい」など、
様々なリクエストを頂いたりしているので、
また、色々な形で実施できるよう検討していきたいと思います。




山のふるさと村に棲むリスや野鳥たちが見る景色や
様々な発見を教えてくれたみんな、ありがとうございました!
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「ツリーイング体験会」担当:原島(かおりぃ)

2019年11月25日月曜日

「東京・奥多摩の伝統芸能ツアー」のご報告





小河内ダムが出来た事により湖底へと沈んだ小河内村。
その中の、今は山のふるさと村となっている、
岫沢集落・日指集落ともう一つ、南集落の3つの集落にて
上演されていた「小河内の鹿島踊」という郷土芸能があります。

今回の「東京・奥多摩の伝統芸能ツアー」では、
国指定重要無形民俗文化財にもなっている
この「小河内の鹿島踊」をピックアップし、実施しました。

今回のイベントを企画したキッカケは、
様々な集落の踊り手の皆さんから聞く、
「踊りを奉納する神社へ直接見にくる人が減っている」という声。

駐車場の少なさ、認知度の低さ…。
様々な原因が考えられるのですが、
「じゃあイベントにしたら、まとまって人を呼べないかなぁ…」と
思ったのが、始まりでした。


そんな思いから始まったイベントに
集まってくださった参加者は計19名。
まずはバスで、奉納祭が行われている小河内神社へ出発です!

御神体が納められている神社へ
郷土芸能の舞を奉納しに来るのは全部で三つの集落。
今年は一番最後に奉納される「鹿島踊」に合わせて
スケジュールを調整していたのですが、
運良く、その前に行われている「原集落の獅子舞」も
見学する事ができました。


3匹の獅子が中央で舞う郷土芸能。

     
手に持つ竹製の楽器「ささら」を持つささら役。前はほぼ見えません。

奥多摩ではポピュラーな、「ささら獅子舞」と呼ばれる、
3匹の獅子と4人のささらで構成されている踊り。
同じ「ささら獅子舞」の名前がついているものの、
集落ごとで、踊りが全く違うのも特徴の一つです。

運動量が多く、技術も必要とされ、
更に被っている獅子の頭の重量もかなりある獅子役。
始まった当初は男性しか許されていなかった獅子役ですが、
近年女性の踊り手も参加しています。



「原集落の獅子舞」の後は、いよいよ「小河内の鹿島踊」。
こちらは白粉をつけた4人の男性が、振り袖を来て舞う踊りです。
歌舞伎が京都で生まれた初期、若衆歌舞伎の流れを汲むと言われており、
そのためか、歌詞の多くに京都の地名が出てきます。

集落に全部で11曲伝わる中、今年の奉納祭では
「月は八幡」「小倉」「かっこ」「桜川」「三拍子」の舞が
披露されました。




最後の曲「三拍子」では、僭越ながら担当者も飛び入りしました。

さて、伝統芸能・郷土芸能にはストーリーがあるものが多いものの、
古語の歌詞のまま唄われているため
ただ聞いているだけでは内容がわかりにくいのが難点です。

そこで今回は、歌詞とその意味、踊りの見どころを
載せた「唄本」というものを作ってみました。
奉納舞に向けての練習にお邪魔する度に
内容チェックをして下さった保存会の皆さまへは
もう足を向けて眠れません…。


最後の感想で、この唄本の事を挙げてくれた方も多くて嬉しかったです。


奉納祭終了後は、「鹿島踊」が生まれた地
岫沢、日指集落跡が残る山のふるさと村へ移動。


特製のお弁当を食べながら、ゆったり休憩してもらうつもりが
踊りについての怒濤の質問タイムの場となりました(苦笑)



昼食後は、インタープリターによる歴史ウォークへ。

歴史を感じる大きなカキノキ、
食べられる木の実をつける木々。
当時の家を支えていた、今も残る石垣や様々な史跡の数々。
それらはすべて、この地に住み「鹿島踊」を現在へと伝えた
人々の暮らしの証でした。


「鹿島踊」を奉納していた、旧加茂神社。


今も水が流れている、当時の井戸。

集落の暮らしの跡を辿りながら、
皆さんのんびりと自分のペースで歩かれたようでした。

当時、2つの集落を繋いだ「尾花坂」。
舗装はしているものの、当時と同じ道、同じ山並みの景色。


日指集落から、岫沢集落まで降りてきた皆さんが
ほっと一息つけるように、おやつの準備をしてみたり。
(お菓子のセレクトは奥多摩名物「山の呼び声」)


押し葉のお菓子敷き、桜の木のコースター、
映ってないけど(笑)熱々のほうじ茶で皆さん一休み。




のんびりとお茶をしながら今日の感想などを、
参加者の皆さんと話していると、解散の時間までもう少し。

最後のまとめに、私がこのイベントを企画したキッカケの話と、
その根底にある「奥多摩の郷土芸能の力になりたい」という思いを
少しだけ話させて頂きました。

踊り手になるなど、郷土芸能そのものに直接関わらなくとも、
「見に来る」「こんな郷土芸能がある事を知る」というだけでも、
地域の郷土芸能を守る、伝えていく力となります。

それは、参加者の方が印象深かった事として挙げていた
「踊り手さんにお礼を言ったら、
逆に「わざわざ来てくれてありがとう」と言われた」
というエピソードにも表れているかもしれません。

  

奥多摩には「鹿島踊」だけでなく、
ささら獅子舞や神楽、車人形など、様々な郷土芸能があります。
特にささら獅子舞は、8月毎週のように奉納祭が行われており、
日によっては一日で3つもの郷土芸能を観る事が出来たりします。

今回の企画を通して、奥多摩の郷土芸能に
興味をもっていただいた参加者の皆さんと
ばったりどこかの奉納祭でお会いするかもと思うと、
考えるだけで楽しく、そしてとてもとても嬉しく思います。

参加者の皆さま、楽しい時間を本当にありがとうございました。
また是非、奥多摩のどこかの神社でお会いしましょう!
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「東京・奥多摩の伝統芸能ツアー」担当:原島(かおりぃ)


2019年10月2日水曜日

「ツリーイング体験会」のご案内



 
 山のふるさと村秋まつり特別プログラム 
「ツリーイング体験会」

小学1年生~中学生の参加者、大募集!!
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アーボリスト(樹木医)が樹上作業を安全に扱うための手段として
利用されてきた、ロープを使った木登りの技術。

このツリーイングの手法を取り入れる事で、
見上げるのも大変な高さの木にも登る事が出来たり、
リスや野鳥と同じ視点で、森を上から眺めたり、
地面を見下ろす事も出来ます。

巨樹が多い奥多摩・山のふるさと村ならではの
森と親しむアクティビティを、
この秋、体験してみませんか。

ツリーイング専用のギア(ハーネス)とロープを
カラビナでつなぐので、体はしっかり固定されます。




そのため、両手を離したこんなポーズも出来ちゃいます。
安心安全!


専門のスタッフから木の登り方を学んだら、後はもう、自分の時間。



どこまで登れるか挑戦してみたり…
(ちなみにこの写真では10mの高さ!)


リスの気もちになって、奥多摩湖を眺めたり…

動物のように枝の上を歩いたり…

   
歩ける?いける?          いけた! 

 
 ピース!


楽しみ方は人それぞれ。
奥多摩の森の新しい過ごし方をどんどん開発してみてください!


__秋まつり特別プログラム「ツリーイング体験会」詳細__

■日 時:2019年11月2日(土) 13:00~15:00
■対 象:小学1年生~中学生
■定 員:各回6名 × 3回

※第一弾:13:00~13:40
  第二弾:13:40~14:20
  第三弾:14:20~15:00

■参加費:1,000円(講師代・保険料・道具レンタル代 等)

■服 装:木を登る服装として、「長袖・長ズボン・スニーカー・
     帽子・軍手」を推奨しています。
     参加されるお子さんの服装が、木に登るのに
     適さないとスタッフが判断した場合、参加を
     お断りする場合があります。あらかじめご了承ください。
      ※帽子、軍手は貸出し可能です。

■申 込:ビジターセンター窓口にて当日申込み 
■受 付:9:00より先着順で受付

■講 師:ツリーマスタークライミングアカデミースタッフ
     山のふるさと村ビジターセンター インタープリター

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山のふるさと村はじめてのプログラム、木登り体験。
清流と巨樹の町、奥多摩ならではの体験を
みなさんと一緒に行えたら、とても嬉しく思います。

スタッフ一同、山ふるの木々一同、ご参加お待ちしております!


2019年6月9日日曜日

日帰りイベント「東京・奥多摩の伝統芸能ツアー」のご案内


地域初!東京・奥多摩の伝統芸能ツアー
2019年9月8日(日) 10:10〜15:40

日本に数多くある、地域色溢れた郷土芸能。
東京・奥多摩にもたくさんの芸能が今も伝えられています。
その中でも、少し特別な郷土芸能「鹿島踊」があります。

小河内ダム南岸の日指・岫沢・南の3つの集落に伝わる「鹿島踊」は
近世初頭の風流の小歌踊りの系脈を伝えているものであり、
芸能史的に貴重な芸能であると認められ、
1980年に国指定重要無形民俗文化財に認定されました。


現在は「鹿島踊保存会」により伝え継がれてきた舞いを、
年に一回、小河内神社で奉納しています。

今回のイベントでは、その奉納舞を見学し、
小河内ダム沿いの遊歩道や
鹿島踊が踊られていた当時の面影を残す集落跡を
インタープリター(自然解説員)と共に歩き、
奥多摩の自然とその環境が生み出した芸能と歴史を
じっくり味わう一日となります。


 奥多摩湖に直接浮かぶ「麦山の浮橋」。
 麦山もまた、湖底にある集落の名前になります。

 湖沿いに続く「湖畔の小道」は全体的に平坦で歩きやすい道です。

 よく見ると、所々に集落の跡が見られる遊歩道でもあります。


山のふるさと村はダムに沈まなかった「岫沢」集落の一部と
「日指」集落の跡地を利用して作られた公園です。
そのため、園内には多くの暮らしの痕跡があり、
様々な形で歴史を垣間見る事が出来ます。

 2つの集落を繋いだ「尾花坂」。
 舗装はしてあるものの、当時と同じ姿を残しています。

山のふるさと村到着後は、地場産の食材をたっぷり使った
お弁当を食べ、しばしのんびりタイム。
その後、今もまだ当時の姿を残す貴重な史跡、鹿島踊奉納の地
「旧賀茂神社」の見学・参拝を予定しています。

 
園内に数多く残る石碑類。鍛冶や左官など様々な職人を支援していた
聖徳太子もまた、職人が多く存在した集落の信仰対象の1つだったようです。

「旧賀茂神社」。御神体はは小河内神社に移されたものの、
 当時と変わらず、園内と園内に棲む生き物達を見守っています。


___「東京・奥多摩の伝統芸能ツアー」詳細___

  主 催: 東京都立奥多摩湖畔公園 山のふるさと村
  協 力: 奥多摩町
  日 時: 2019年9月8日(日)10:10〜15:40
  対 象: 18歳以上の方(高校生不可)
  定 員: 20名(先着順)
  参加費: 5,000円(昼食代・御奉納料・ガイド講師代・保険代等)
  締切り: 8月15日(木)必着
  集合・解散:JR青梅線 奥多摩駅(駅から送迎バスにて移動)

  参加申込:
 1.イベント名 2.氏名・ふりがな 3. 性別 4. 生年月日(西暦) 
 5. 郵便番号・住所 6. 電話番号 7. Fax番号(任意) 8. E-mailアドレス(任意)

  をご記入の上、FAXまたはE-mail、官製はがきでお申し込み下さい。

     ※ 雨天時には奉納自体が取りやめになる事もあります。
  予めご了承ください。 


  宛 先:〒198-0225 東京都西多摩郡奥多摩町川野1740
      山のふるさと村ビジターセンター
      TEL & FAX:0428-86-2316 E-Mail:yamafuru@hkr.ne.jp 

   ※お申込み受け付け後、折り返し「申込み受理」のご連絡をいたします。
           こちらから連絡がない場合は、受理されていない可能性もありますので、
     申込み後3日を過ぎても連絡がない場合は、お手数ですがビジターセンターまで
    お問合せください。

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皆様とご一緒に、奥多摩の豊かな自然に癒されつつ、
奥多摩の芸能とその歴史を満喫できることを
スタッフ一同楽しみにしております!